恐らく相手が日本人である場合と外国人である場合で、皆様の心構えにも差が出る
かと思いますので、とりあえず章を分けておきました。
というわけでまずは日本人相手の面接ですが、外資系の面接というのは非常に
「自由」であり、皆様が就職活動時に行ってきた「通り一遍の質疑応答」とはかなり
異なります。
勿論「志望動機」や「自己アピール」など、代表的なものはあるかとは思いますが
どちらかと言えば
「経験に裏打ちされた、表層上だけではない能力を本当に持っているか」
を試すことに主眼が置かれています。
年収が高くなるほど、この傾向が強まります。
従って、職務経歴書にて書かれている経歴で少し突っ込んだ内容は一応聞かれる
かと思いますが、その後突然「わが社は今・・・な状況なのだけど、貴方なら
どうしますか?」というように飛躍した質問が飛んでくる可能性が往々にして
あります。
この「わが社は今・・・」というアプローチは結構よく来るパターンです。
これを即興で答えるためには相当な実力が必要ですが、前章の通りエージェントを
通じて、志望会社の課題を可能な限り洗い出させることで実は「予習」は可能です。
この質問に高レベルの回答を出せた場合には、それだけで通過できるかも
しれません。それ程重要なものであると言えます。
また気をつけねばならないケースとしては「答えに詰まり黙る」というものです。
判らない質問が来ると、しばらく唸りこみ、最後にか細い声で「判りかねます
・・・」と言ってしまうのが日本人の方ではよくある傾向です。
実はこれは外資系の面接では最悪のリアクションです。日本企業では「謙虚」と
受け止められるかもしれませんが、外資系であからさまに弱弱しい態度を見せるのは
遂行能力が弱いとみなされることが多いからです。
質問へ的確な回答が用意できない場合でもとりあえず「ご質問の意に添えないかも
知れませんが、自分の経験した話では・・・」と強引に回答をすることが重要です。
日本では「沈黙は金」ですが、外国では「沈黙は無能」だからです。
逆に言えば、例え強引に話をすり替えたとしても回答をすれば、面接相手はある程度
その度胸を買ってくれるはずです。
いざ外資系の職場で仕事をすれば判るのですが、多くの外国人が理路整然と
話すことができません。また勢いで無理やり押し切ろうとする方も少なく
ありません。
だからこそこちらも半端な論理で十分なのです。あまり深く考えないで良いのです。
50点の内容でも話さえすれば、45点の内容で騒いでいる人間を説き伏せることも
できるのです。
この感覚が、減点主義の受験戦争で育った私達には中々馴染まないかと思います。
ただしばらく仕事をして感じるのは、日本の会社でエリートから1点2点の細かい
指摘を受けながら減点されないように神経を尖らせるより、互いに50点と45点の
出来でワイガヤやりながら仕事をする方が、遥かにストレスはかかりません(笑)
ざっくばらんだからこそ、話がまとまるのも早いのです。
新卒の頃の面接とは随分タイプが異なるかとは思いますが、かっこ良く言えば
「自分を減点主義のしがらみから解き放てば」よいのです。
次章では、よりクセの強い「外人との面接」対策をまとめたいと思います。
人の価値は、人が決める。